内臓脂肪が過剰な状態、いわゆる“内臓肥満”は、様々な健康障害を起こし、高血圧、高血糖、脂質異常などを合併し、メタボリックシンドローム(通称メタボ)と呼ばれます。メタボリックシンドロームに当てはまると、心臓病や脳卒中になる危険性が高くなると考えられます。
Q&A
- 診断基準を教えてください。
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メタボリックシンドロームの診断基準は次のようになります。
ウエスト周囲長は、“おへそ”の高さで測定します。内臓脂肪蓄積の目安になります。“最近、お腹がポッコリ出てきたなあ”と感じたら、メタボになっている可能性があります。
- “メタボ”は何故いけないのですか?
- 内臓にたまった余分な脂肪は、血液中に入って高脂血症(脂質異常症)の原因になります。動脈硬化を起こしやすい状態となり、高血圧症のリスクも上がります。そして、心筋梗塞や狭心症の発症率が高くなります。内臓脂肪が増えると、脂質や糖質の代謝で重要な役割をする生理活性物質の分泌障害をおこします。食欲を抑えるレプチン、動脈硬化を予防するアディポネクチン、血圧を上げるアンジオテンシノーゲン、インスリンの働きを邪魔するTNFα、血栓が出来やすくなるPAI-1、血圧を上昇させるアンジオテンシノーゲンなどの分泌異常です。
“内臓脂肪が減る=ウエスト周囲長が減る”、ということで、このような状態が改善され、高血圧、高血糖、高脂質が改善することが期待できます。 - 治療はどうすればいいですか?
- 健康障害を改善させるために、まずは内臓脂肪を減らすため、生活習慣の改善が大切になります。食事療法、運動療法がとても大事です。食べ過ぎを避け、バランスの良い食事を心掛けましょう。食べ過ぎた余分な栄養が、脂肪に変わっていきます。よく噛んで、ゆっくり、腹八分目が大事です。運動は散歩、サイクリングなどの有酸素運動で、息切れするほど激しい運動は必要ありません。じわっと、汗をかく程度が理想です。少しずつでも毎日続けましょう。足腰に不安な方は、プールなどでの水中ウォーキングもお勧めです。
基準範囲まで改善させることが目標ですが、急激な体重減少を目指さずに、数か月かけてゆっくり近づけていきましょう。